5月13日(土)、国立劇場にて開催された、前進座の集団観劇に取り組みました。
今回の演目は、「魚屋宗五郎」と「風薫隼町賑」の芝居と踊りの二本立て。2023年10月をもって建て替え工事のため、国立劇場で今後6年間は芝居が見られないとの事。現劇場で前進座歌舞伎公演を観るラストチャンスということで、当日はあいにくの雨でしたが計12名が参加しました。
第一幕目の「魚屋宗五郎」は第一場と第二場に分かれていました。魚屋の宗五郎の妹「おつた」は旗本・磯部主計介(いそべかずえのすけ)というお殿様の元へ奉公に上がっており、気に入られ愛妾になったそう。そんなおつたに磯部の家臣の典蔵も思いを寄せていました。
第一場では、ある日おつたの飼い猫がいなくなってしまい、探しているおつたのもとに典蔵がやってきます。
そこで典蔵はおつたを手籠めにしようとしますが失敗。おつたの悲鳴を聞き駆けつけた浦戸紋三郎(うらともんざぶろう)に罪をなすりつけます。無実にもかかわらず、「城内で不義密通を働いた」と聞き激昂した磯部に手打ちにされてしまうというストーリー。暗闇の中、手探りで相手の動きを追っては逃げる演技には思わず息を吞みました。
第二場では、妹を亡くし悲しむ宗五郎の家にお酒が届きます。それは磯部家で奉公していた腰元のおなぎからのものでした。周囲は、今日くらい好きな酒でも飲んで…と進めますが、宗五郎は酒乱の癖があるため禁酒中。乗ろうとはしません。
そこにおなぎが焼香をしに宗五郎の家にやってきます。なぜ殺されたのかと聞くと、「おつたさんは悪くない。不義の疑いをかけられ理不尽に殺されたのです。」と、事の顛末を知りました。
あまりに非道な話に一同は悲しみに暮れました。そこで宗五郎の「一杯ついでくれ」の声を皮切りに、一杯が二杯、二杯が三杯と飲み始めます。だんだんと酒乱になりおつたを殺した磯部の元へ乗り込んで・・・というストーリー。
三杯目になると目がすわり肌も赤みを帯び、本当にお酒を吞んでいるのではないかと錯覚するほど!だんだんと酔っていく過程に、会場が大きな笑いに包まれました。
中でも酒屋の丁稚が花道を駆け抜けるシーンがとてもかわいく、会場がほっこり温かい雰囲気につつまれました。宗五郎役、藤川矢之輔さんも、8歳のときに酒屋の丁稚の役を演じたそうです。
第二幕目は、国立劇場おなごりご挨拶「風薫隼町賑」、舞踊かっぽれです。舞台の背景には国立劇場が描かれていました。
男優女優さんたちが愉快爽快に総踊り。観客も手拍子をはさみ楽しみました。
日替わりのトークゲストには山田洋次監督が登場し、エキストラとして出演した映画「箱根風雲録」のお話や、監督が関わってきた劇団の舞台・映画の裏話など、写真と共に前進座との思い出を振り返りました。お話の中での「真面目にやるからこそ喜劇が作れる」という言葉がとても印象に残りました。
その他にも最新作のお話、監督が手掛けてきた映画の裏話など、素晴らしいエピソードをたくさん聞くことができ、一同大満足でした。
参加者からは「とても面白かった」「歌舞伎はあまり見たことがなかったので独特な言い回しが理解できるか不安だったけれど楽しめた」「久しぶりにかっぽれを聞いて思わず小声で歌ってしまった」との声も。
終了後は江東区に戻り、懇親会へ。「宗五郎のようにお酒に吞まれないようにね」と冗談を言い合いながらお酒と料理を楽しみました。
江東民商共済会は、いのちと健康を守る活動はもちろん、皆さんが楽しめるレクリエーション活動にも力を入れていきます!